2008年09月08日
ピアノソナタ 「白ミサ」
スクリャービン
ピアノ・ソナタ「白ミサ」

スクリャービンは、ロシアのピアニストで、作曲家(1872-1915)。
たくさんのピアノ曲を残していますが、ピアノ・ソナタ第7番は「白ミサ」と呼ばれています。
スクリャービンは、この曲を演奏すること自体を、一種の儀式を執り行うこととして考えていたのだそうです。
でも、ミサといっても、モーツァルトのミサのような荘厳な感じはしない曲です。
どちらかというと、聴きづらい難しい曲。
ちなみに、本人が名づけたのではないですが、スクリャービンのピアノ・ソナタ第9番は、「黒ミサ」と呼ばれています。
この曲は、なるほど、不気味さは黒ミサそのもの。
というわけで、ちょっとクセのある曲から紹介しましたが、私は、スクリャービンの大のファン!
彼の初期のピアノ・ソナタは、傑作ぞろいで、とくにに第1番、第2番(幻想ソナタ)、第3番は、しょっちゅう聴いている。
ほかにピアノ・ソナタ第4番も、2つの楽章しかないとっても短い曲ですが、高価な陶器をなでるかのごとくにデリケートなタッチで神秘的な雰囲気をかもし出す第1楽章と、突然空気が一変して始まる第2楽章のメリハリが効いている。第2楽章では、スクリャービンの華麗なピアニズムが全開で、息つく間もなく音の饗宴が繰り広げられます。
小品ながら、ピアノという鍵盤楽器の持つ美と力を最大限にひきだしており、その魅力を堪能させてくれます。
あと、初期スクリャービンのゴージャスなピアノの響きを味わうことができる曲といえば、コレでしょう。

みずみずしい感情に溢れ、リリカルかつロマンティックな名曲ですよ、これは!
スクリャービンは、音楽院でラフマニノフと同級生だったとか(しっかし、すごいクラスだね!)。
このピアノ協奏曲は、ラフマニノフのコンチェルトを思わせる、あまーい旋律とドラマティックな盛り上がりに彩られたすばらしい作品です。
そして、フィナーレはゴージャスなコーダ。
はじめから、おわりまで、たっぷり酔わせ、楽しませてくれる音楽で、もう、最高!です。
ちょっと古くさいが、まっすぐな恋愛ドラマ(=韓流ドラマ)のBGMに使ったら、多分、ぴったり。
私の一押しの音楽。
ところで、最初に紹介した「白ミサ」なんていう曲名から分かるとおり、スクリャービンは神秘思想に、かなり「はまっ」ていました。
もともと、神秘的なものにひかれる傾向を持っていたスクリャービンでしたが、1905年に、ロシア生まれのブラヴァツキー夫人とアメリカ人のオルコット大佐が始めた『神智学』に出会い、決定的な影響を受けます。
以後、スクリャービンは、神智学の教理を取り入れながら独自の神秘思想を固めてゆきます。
そして、「神聖な詩」と名づけられた交響曲第3番や、「法悦の詩」(シンフォニー・エクスタシー)と呼ばれる第4交響曲を作曲。
さらに、5番目の交響曲として位置づけられる「プロメテウス」では、「色光ピアノ」(鍵盤を叩くと着色光を放射する)を導入して、音楽と美術の統合を目指しました。
「プロメテウス」は、また、全曲が「神秘和音」から作られています。
この神秘和音というのも、スクリャービンが独自に開発したもの。
スクリャービンは、長年にわたり「ミステリア(神秘劇)」の構想を温めていました。
それはあらゆる分野の芸術や自然をも取り入れ、芸術の魔術的な作用によって、全人類をも巻き込む宇宙の進化をうながすという、野心的な作品でした。
けれども、この作品は、ついに完成をみることなく終わります。
病的なまでに、死をおそれ、健康と衛生に気を使ったスクリャービン。
しかし、皮肉なことに、ある日、唇を虫に刺されてできた小さな傷から破傷風にかかってしまい、1915年に突然、この世を去ってしまったのでした。

ところで、革命直前のロシアでは、神秘思想がはやっていたようです。
最後の皇帝ニコライ2世の皇后アレクサンドラも、息子のアレクセイ皇太子が血友病という遺伝性の不治の病をかかえて生まれてきたために、次第に、まじないや神秘的なものに頼るようになっていきました。
そんな中、ラスプーチンなる怪しげな、まじない師が暗躍して政治が混乱したとか。
当時のロシアの芸術家では、スクリャービン以外にも、ニコライ・レーリヒという画家が神秘思想家として有名です。
レーリヒは、こんな素晴らしい作品を残しています。

見てお分かりの通り、かなり優れた技術を持っていただけでなく、独特の感性を絵画で表現することができた才能豊かな画家ですよね。
今も熱心なファンがいて、ニューヨークにはレーリヒの絵だけを集めた美術館まであります。
そんなレーリヒですが、室内に閉じこもって絵を描くだけではなく、非常に行動的な人で、中央アジアとチベットに何度も探検旅行に行ったりしています。
なんでも、レーリヒは、何度目かの探検で、神秘の「シャンバラ」へ至る道を発見したのだとか。
この絵のタイトルは、ずばり、「シャンバラへの道」。

レーリヒは、チベットで、ラマ僧をはじめ大勢のチベットの魔術師達と話しをしたそうです。
レーリヒは、こんなことを言っています。
「雪を頂く巨大なチベットの山々の間に、美と生命が脈打つ『隠れ谷』が身を伏せている。
この秘密の谷の周囲は雪と氷の断崖絶壁であるが、湧き出る温泉が豊かな緑を潤している、、、。
、、、チベットとヒマラヤには、広大な洞窟の迷宮と地下通路がある。
奥深い洞窟から地下通路がはるか地下に向かって伸びている。
そこに開かずの石の扉を見たものもいる。
時がくれば、この扉は開く。
そこから、通路は、すばらしい谷へと通じている。」
そして、1927年夏のこと。
レーリヒと探検隊の一行は、チベットとモンゴルの間の谷にキャンプを張った。
この日のレーリヒの日記には、謎めいた一文が含まれています。
「7月20日、至高の存在の指示があった。」
至高の存在とはなんでしょう?
この記述について、レーリヒは、シャンバラの知性体とのコンタクトに成功したのではないかと見る人もいます。
続く8月5日の日記では、
「たいへんなことが起こった。
朝、キャラバン隊の一人が、大きな黒わしが上空に飛んでいるのに気づいた。
われわれは、皆この異様な鳥を眺めた。
そのとき、別のものが叫んだ。
『鳥のもっと上に何かがいる!』
なるほど、そこに、大きくて太陽にきらめき、猛烈なスピードで動く巨大な卵型の物体が見えた。
それは、キャンプの上の空を横切ると方向を南から南西に変えた。
そして、青空のかなたへ消えていった。」
おそらく、これは、UFOについての最も初期の記録の一つでしょう。
実は、レーリヒが、チベットでシャンバラを探していた同じ頃、ナチス・ドイツの探検隊もまた、同じチベットで、「ある使命」をおびて「あるもの」を探し回っていました。
ですが、これについては、またの機会に。
さて、夜も更けました。
夕方の激しい雷雨も止んで、夜空に雲が流れ、合間に星が瞬いています。
スクリャービンの静かなノクターン(夜想曲)でも聴きながら、眠りに付くとしましょう。
byらいおんまる
ピアノ・ソナタ「白ミサ」

スクリャービンは、ロシアのピアニストで、作曲家(1872-1915)。
たくさんのピアノ曲を残していますが、ピアノ・ソナタ第7番は「白ミサ」と呼ばれています。
スクリャービンは、この曲を演奏すること自体を、一種の儀式を執り行うこととして考えていたのだそうです。
でも、ミサといっても、モーツァルトのミサのような荘厳な感じはしない曲です。
どちらかというと、聴きづらい難しい曲。
ちなみに、本人が名づけたのではないですが、スクリャービンのピアノ・ソナタ第9番は、「黒ミサ」と呼ばれています。
この曲は、なるほど、不気味さは黒ミサそのもの。
☆
というわけで、ちょっとクセのある曲から紹介しましたが、私は、スクリャービンの大のファン!
彼の初期のピアノ・ソナタは、傑作ぞろいで、とくにに第1番、第2番(幻想ソナタ)、第3番は、しょっちゅう聴いている。
ほかにピアノ・ソナタ第4番も、2つの楽章しかないとっても短い曲ですが、高価な陶器をなでるかのごとくにデリケートなタッチで神秘的な雰囲気をかもし出す第1楽章と、突然空気が一変して始まる第2楽章のメリハリが効いている。第2楽章では、スクリャービンの華麗なピアニズムが全開で、息つく間もなく音の饗宴が繰り広げられます。
小品ながら、ピアノという鍵盤楽器の持つ美と力を最大限にひきだしており、その魅力を堪能させてくれます。
あと、初期スクリャービンのゴージャスなピアノの響きを味わうことができる曲といえば、コレでしょう。
↓
ピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲

※ピアノソロ:ウラディミール・アシュケナージ
ロリン・マゼル指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
※※なお、このアルバムには、スクリャービンのピアノ曲「2つの詩曲」が収録されていますが、第1曲は小品ながら、ほんとにすばらしい曲。
しっとりと聴かせてくれます。
この曲に、私は何度いやされたか分かりません。
ロリン・マゼル指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
※※なお、このアルバムには、スクリャービンのピアノ曲「2つの詩曲」が収録されていますが、第1曲は小品ながら、ほんとにすばらしい曲。
しっとりと聴かせてくれます。
この曲に、私は何度いやされたか分かりません。
みずみずしい感情に溢れ、リリカルかつロマンティックな名曲ですよ、これは!
スクリャービンは、音楽院でラフマニノフと同級生だったとか(しっかし、すごいクラスだね!)。
このピアノ協奏曲は、ラフマニノフのコンチェルトを思わせる、あまーい旋律とドラマティックな盛り上がりに彩られたすばらしい作品です。
そして、フィナーレはゴージャスなコーダ。
はじめから、おわりまで、たっぷり酔わせ、楽しませてくれる音楽で、もう、最高!です。
ちょっと古くさいが、まっすぐな恋愛ドラマ(=韓流ドラマ)のBGMに使ったら、多分、ぴったり。
私の一押しの音楽。
☆
ところで、最初に紹介した「白ミサ」なんていう曲名から分かるとおり、スクリャービンは神秘思想に、かなり「はまっ」ていました。
もともと、神秘的なものにひかれる傾向を持っていたスクリャービンでしたが、1905年に、ロシア生まれのブラヴァツキー夫人とアメリカ人のオルコット大佐が始めた『神智学』に出会い、決定的な影響を受けます。
以後、スクリャービンは、神智学の教理を取り入れながら独自の神秘思想を固めてゆきます。
そして、「神聖な詩」と名づけられた交響曲第3番や、「法悦の詩」(シンフォニー・エクスタシー)と呼ばれる第4交響曲を作曲。
さらに、5番目の交響曲として位置づけられる「プロメテウス」では、「色光ピアノ」(鍵盤を叩くと着色光を放射する)を導入して、音楽と美術の統合を目指しました。
「プロメテウス」は、また、全曲が「神秘和音」から作られています。
この神秘和音というのも、スクリャービンが独自に開発したもの。
スクリャービンは、長年にわたり「ミステリア(神秘劇)」の構想を温めていました。
それはあらゆる分野の芸術や自然をも取り入れ、芸術の魔術的な作用によって、全人類をも巻き込む宇宙の進化をうながすという、野心的な作品でした。
けれども、この作品は、ついに完成をみることなく終わります。
病的なまでに、死をおそれ、健康と衛生に気を使ったスクリャービン。
しかし、皮肉なことに、ある日、唇を虫に刺されてできた小さな傷から破傷風にかかってしまい、1915年に突然、この世を去ってしまったのでした。

※立派なおひげのスクリャービン
☆
ところで、革命直前のロシアでは、神秘思想がはやっていたようです。
最後の皇帝ニコライ2世の皇后アレクサンドラも、息子のアレクセイ皇太子が血友病という遺伝性の不治の病をかかえて生まれてきたために、次第に、まじないや神秘的なものに頼るようになっていきました。
そんな中、ラスプーチンなる怪しげな、まじない師が暗躍して政治が混乱したとか。
当時のロシアの芸術家では、スクリャービン以外にも、ニコライ・レーリヒという画家が神秘思想家として有名です。
レーリヒは、こんな素晴らしい作品を残しています。
↓

見てお分かりの通り、かなり優れた技術を持っていただけでなく、独特の感性を絵画で表現することができた才能豊かな画家ですよね。
今も熱心なファンがいて、ニューヨークにはレーリヒの絵だけを集めた美術館まであります。
そんなレーリヒですが、室内に閉じこもって絵を描くだけではなく、非常に行動的な人で、中央アジアとチベットに何度も探検旅行に行ったりしています。
なんでも、レーリヒは、何度目かの探検で、神秘の「シャンバラ」へ至る道を発見したのだとか。
この絵のタイトルは、ずばり、「シャンバラへの道」。
↓

レーリヒは、チベットで、ラマ僧をはじめ大勢のチベットの魔術師達と話しをしたそうです。
レーリヒは、こんなことを言っています。
「雪を頂く巨大なチベットの山々の間に、美と生命が脈打つ『隠れ谷』が身を伏せている。
この秘密の谷の周囲は雪と氷の断崖絶壁であるが、湧き出る温泉が豊かな緑を潤している、、、。
、、、チベットとヒマラヤには、広大な洞窟の迷宮と地下通路がある。
奥深い洞窟から地下通路がはるか地下に向かって伸びている。
そこに開かずの石の扉を見たものもいる。
時がくれば、この扉は開く。
そこから、通路は、すばらしい谷へと通じている。」
そして、1927年夏のこと。
レーリヒと探検隊の一行は、チベットとモンゴルの間の谷にキャンプを張った。
この日のレーリヒの日記には、謎めいた一文が含まれています。
「7月20日、至高の存在の指示があった。」
至高の存在とはなんでしょう?
この記述について、レーリヒは、シャンバラの知性体とのコンタクトに成功したのではないかと見る人もいます。
続く8月5日の日記では、
「たいへんなことが起こった。
朝、キャラバン隊の一人が、大きな黒わしが上空に飛んでいるのに気づいた。
われわれは、皆この異様な鳥を眺めた。
そのとき、別のものが叫んだ。
『鳥のもっと上に何かがいる!』
なるほど、そこに、大きくて太陽にきらめき、猛烈なスピードで動く巨大な卵型の物体が見えた。
それは、キャンプの上の空を横切ると方向を南から南西に変えた。
そして、青空のかなたへ消えていった。」
おそらく、これは、UFOについての最も初期の記録の一つでしょう。
実は、レーリヒが、チベットでシャンバラを探していた同じ頃、ナチス・ドイツの探検隊もまた、同じチベットで、「ある使命」をおびて「あるもの」を探し回っていました。
ですが、これについては、またの機会に。
さて、夜も更けました。
夕方の激しい雷雨も止んで、夜空に雲が流れ、合間に星が瞬いています。
スクリャービンの静かなノクターン(夜想曲)でも聴きながら、眠りに付くとしましょう。
byらいおんまる


