2008年06月23日

Egyptian Mystery 1

Egyptian Mystery 1  -眠れる古代の神々-



マスター
「大佐、おひさしぶりです。
 随分ご無沙汰でしたね!

大佐
「いや、まったく、ちょっと長めの旅行をしていたのでね、、、


マスター
「今度は、どちらへ行かれたのですか?


大佐
「イタリア経由で、エジプトへ行って来ました。

マスター
「ほう、それは、それは。
 きっと、興味深い出来事があったのでしょうね!

大佐
「うん、私には、これといって何もなかったけど、面白い話が聞けたよ

マスター
「ああ、ぜひ聞かせてください!

大佐
「それじゃぁ

そして、大佐は話し始めた。










Egyptian Mystery



「ファラオの呪い」といえば、ツタンカーメン王の財宝を発掘したハワード・カーターと発掘後に相次いだ関係者の謎の死が有名だが、実は、それ以外にも、いくつか異常な話が伝えられている。



ハワード・カーターがツタンカーメン王の墓の発掘をはじめる少し前、同じようにエジプトで発掘調査にいそしむ考古学者たちがいた。スミスとウィーゲルである。
ある日、彼らは、女王の谷の調査に出かけ、坂道を下っていた。
そこで、2人の学者は自然の円形劇場を発見する。
「そうだ、劇を上演しよう!」
かれらは、独自の「神秘劇」を上演し、エジプトの考古学会の人々を全員招待することに決めた。


だが、この神秘劇の上演は、単なる気晴らしではなかった。
スミスとウィーゲルの2人は、実は、古代エジプトの王イクナートンの熱烈な讃美者だった。
2人は、単なる演技ではなく、一種の宗教的祭儀を執り行い、呪いをかけられ地上を永遠にさまよい続けているイクナートン王の魂を苦しみから解放しようとしたのである。









イクナートンとは?
この王は、ツタンカーメン王の先代にあたる王である(在位 前1375年~1360年)。
歴史上初めて現われた一神教の王とされる。
言うまでもなく、エジプトは、多神教の国。
様々な神々が、気の遠くなるような悠久の年月にわたって崇拝されてきた。
しかし、「偉大なる異教徒」イクナートンは、それまでの都テーベと、その全ての寺院を捨て去り、テル・エル・アマルナという土地に新しい王都を建造し、ここに都を移した。
新しい都を、「アヘタトン(アトンの国土)」という。
イクナートン王は、伝統的なエジプトの多神教を否定し、唯一絶対の神を信仰した。太陽神アトンである。


イクナートン王のやったことは、いわば急進的な宗教改革であった。
数千年に及ぶ古代エジプトの伝統に挑戦した王の改革は、美術の面にも影響を及ぼす。
王の治世において、それまでの抽象的なエジプト美術が一変し、いきなり写実的なものにかわる。
その造形は、現代の作品として展示されても違和感のないほど近代的なものである。
この、いわば「時代を超越した」感性を有する作品群は、「アマルナ芸術」として高く評価されている。


だが、僧侶たち、そして家臣たちは、イクナートン王の新しい一神教を嫌う。
保守派は、猛烈な抵抗をしたようだ。
そして、巻き返しにかかる。
そうこうするうち、イクナートン王は若死にする。暗殺ではないかとする説もある。
王位継承者は、まだほんの子供のツタンカーメンだった。
だが、ツタンカーメン王も、18歳のときに頭に打撃を受けて死亡する(やはり、暗殺説がある)。
後を継いだ国王は、イクナートンとツタンカーメンの名前をことごとく消し去ることとした。
2人の名前をあらゆる文書から削り取らせる。
テル・エル・アマルナの太陽の大寺院を徹底的に破壊し、テーベの三つのピラミッドをつくるのに、その石を使う。
さらに、イクナートンとツタンカーメンの廷臣の墓までも破壊する。
かくして、イクナートンは、永遠に呪われた国王として古代エジプトの歴史から抹殺されてしまうのである。









話しを20世紀始めのスミスとウィーゲルに戻そう。
言い伝えによると、イクナートン王は、紀元前1363年1月26日に没している。
スミスとウィーゲルは、神秘劇を1909年1月26に上演することにし、各方面に招待状を発送した。


1月23日、本格的なリハーサルを行うことになった。
同じ考古学者の仲間のホーテンスとスミスの妻コリンナも一緒である。


劇は、次のようなシナリオである。

- エジプトの天空神であるホルス神が現われ、ホーテンスが演ずるイクナートン王のさすらう魂に呼びかける。
「望むことを言うがいい。何であれ、かなえよう。」
イクナートンは、母タイイー王妃に会いたいと答える。
魔術の儀式により、王妃の魂が呼び寄せられる。
王母は、自分の息子の魂がのろいをかけられ、永遠にさまよいつづけているのを見て、こんなに悲しいことはないと言う。
イクナートンは、こんな苦しみのなかでも、唯一神アトンのことを思うとこころが安らぐと答える。
そして、イクナートンは、母にアトンへの賛歌を朗誦してほしいと懇願する、、、-

さて、リハーサルが始まった。
スミスの妻コリンナが朗読を始めると、急に風が吹き始めて、彼女の言葉が良く聞き取れなくなった。
風は、やがて勢いを増し、砂と小石を劇を上演しようとする者たちに打ち付けた。
手伝いに来ていた現地のエジプト人たちは、神々の罰だと騒ぎ始め、リハーサルは中止された。
演技をする予定だった考古学者たちは、あわてふためいて、キャンプへ逃げ帰った。


その日の夕刻のことである。
コリンナは、目が痛むようになった。
ホーテンスも腹を押さえて苦しんでいる、、、『胃が痙攣する』と彼はうめいた。
夜になって、2人は同じような夢を見る。


- 2人は、キャンプの近くの寺院にいる。
2人は、アモン神の像の前に立つ。
すると、神は生命をよみがえらせて動き出し、二人を杖で打つ。
コリンナに対しては、目を。
ホーテンスに対しては、腹を。 -


翌日、コリンナの目は炎症を起こして真っ赤にはれた。
彼女は、あまりの苦痛に身をもがいて苦しみ、カイロの病院に担ぎ込まれた。
眼科の専門医は、急性の眼炎と診断し、こんなに悪質なのは初めてだと言った。


その24時間後、今度は、ホーテンスが同じ病院に運ばれた。
直ちに胃の手術となった。
少し遅れていたら、落命していたかもしれないほどの大手術だった。




この劇には、ハワード・カーターとカーナボン卿も招待されていた。
1922年、彼らは、史上最大の発掘を成し遂げ、世界中をあっといわせる。
だが、それは、新しいミステリーの始まりでもあった。









☆つづく




   

Posted by らいおんまる at 20:39Comments(5)TrackBack(0)mystery